2000.8 会報78:高1 oral introduction2000年6月(会報No.78)実践報告(高校):「oral introductionによる導入からstory tellingに至る 高校英語1の授業」 萩原 一郎さん(県立港北高校) ◆授業をビデオに撮り、それを見ながら参加者が自由に意見・感想を述べる形で進めていく「新企画」。50分の授業の中でリスニング、音読、スピーキングを日常的に取り入れる工夫が随所にあり、授業の構成が明快で、密度濃い実践報告でした。 (1) 教授法 萩原先生は語学教育研究会(=語研)などの講習会や学習会に参加され、「新英研は英語教授法がない」という弱点を指摘。結論としては、パーマーのral methodが現場でいちばん応用しやすいのではないかと考えている、とのこと。 (2) 英語1 英語1、英語2を「総合英語」と位置づけ、今年の授業で心がけていること (a) oral introductionで導入を: ・教科書をしまわせる+絵を使う ・生徒のリスニング力、教師のスピーキング力をつける。 ・予習している生徒→音声で内容確認 予習していない生徒→読む前にイメージをつかめる (b) story tellingで覚えた英語を言ってみる: ・全体確認→コーラスリーディング→家で練習→「スピーキングシート」を使ってペアワーク ・OCAは、その多くが場面別の英会話になっており、話す力が伸びるとは思えない。 (c) 音読の重視:何回も読む/1年次に徹底しておく(学年が上がると時間が取れない) ・read and look up=教師が1文をモデルリーディング(生徒は黙読)→顔を上げて音読 ・新出単語=教師が1語をモデルリーディング→クラスで唱和(この作業を2回繰り返す) →任意の一列を当て、前から1人ずつ発音→終わったら教師が発音→クラスで唱和 ・録音テープの提出=教科書を音読し、自宅で録音する ・A面のはじめから、「クラス」「番号」「氏名」「録音箇所」を言ってから読み上げる ・BGMを入れて工夫してもよい(「クラスで紹介することもある」言っておく) (d) 高校でもプロジェクト学習を:学期ごとに教科書とリンクさせて企画 ・1学期=show and tell 2学期=紙芝居 3学期=CM作り (e) フレーズごとに区切ったプリントを使用: ・第1~2課はプリントで→徐々に教科書にスラッシュを入れる→3学期には自分で区切る (f) 書く力をつける:単語・熟語ワークシートを作成、授業中はペアで練習 (g) 歌:教科書内容に合わせて選ぶ 第1課:From a Distance 第2課:Ebony and Ivory 第3課:Youユve Got a Friend (3) ビデオ (財)語学教育研究所の「ビデオによる英語授業研究・資料シート」を使用 ・授業者:萩原一郎/教歴20年2月(現任校10年2月) ・学校と特色:神奈川県立港北高校/昨年度創立30周年を迎えた中堅校。 素直な生徒が多いが、学力は下降気味。 ・授業担当状況:高1英語?[必修3単位/2クラス]担当3人、定期試験は各担当で 高1OCB[必修2単位/3クラス]担当2人、定期試験は各担当で(Listeningは統一) 高1OCA[自由選択2単位/2クラス]担当2人、定期試験は統一 ・当該学級:高1[女子20名+男子19名=39名]全般的におとなしく、授業での反応はあまり 見られない。授業での諸活動への取り組みは悪くないが、脱落気味の生徒が出てきている。 ・授業環境:2000年6月6日?5時限13:25~14:15/晴れ(風強い) 前回の授業は1日前/同一授業を他クラスですでに1回行っている ・教材と時間配当:Genius English Reading ?(大修館)Lesson 3 The Circus (1) Dialogue (2) Part 1(本時分) (3) Part 2 (4) Part 2 (5) Part 3 (6) Comprehension, Grammar, Exercises (7) Story telling ・授業目標: 重点項目:ストーリーの最初の部分であるので、状況をきちんとイメージ化できるようにする 復習事項:なし(前時のdialogueと本文の関係がほとんどない) 新出事項:[語句]impress, expensive, well-behaved,... [文法]文修飾の副詞 使用する視聴覚補助具:picture card, cut-out pictures ・授業展開:(教案を添付しても良い) (a) Greeting and Roll Call(2分) (b) English Song: Ebony and Ivory(4分) (c) Oral Introduction(7分) (d) Model Reading(1分) (e) Silent Reading(2分) (f) First Reading (based on the handout)(8分) (g) Second Reading(16分) (h) Chorus Reading( new words → chorus reading → Read and Look Up )(10分) ・辞書引き:『Active ジーニアス』『ライトハウス』『Super アンカー』を推薦。 7~8割の生徒が持ってきている。「接続詞Onceは文頭で使う」「probablyは十中八九」 のような語を引かせる。 (4) 反省 ・oral introductionで、語句だけではなく、文を言わせれば良かった。 ・(ビデオ撮影時点で)生徒の名前をほとんど覚えていなかった。 ・黙読時間をもっと取れば良かった。 ・新出語を読むとき「綴りと発音」の関係を板書説明すれば良かった。 ■意見 □ 新出単語はふつうに出てきた順に整理させるのではなく、品詞を意識させるよう、「名詞」「動詞」に分けさせるとよい。 ■参加者から出された感想 □ 最初から参加できず残念でした。高校の授業を新鮮な目で見させていただきました。なかなか声も出ているし、萩原さんの丁寧なプリントは効果が上がると思いました。まとめ方も丁寧でした。 □ ビデオを見ることで授業のやり方が実によく分かった。交わされる議論がより具体的になり、眠くならなかった。 □ ビデオで授業の様子がよく分かり、生徒の声が大きいのでビックリした。ワークシートと発問の仕方が参考になりました。テキストを自分なりにアレンジする力量をつけなければいけないと思いました。授業の構成が8つから成るのも参考になりました。 □ oral introductionで新語の導入、内容への導入など、とても丁寧かつ、その場ですぐリピートさせていて、無駄のない授業だと思いました。たしかにおとなしい(自分からは発言しなさそうな)生徒たちですが、がんばってよくリピートし、ペアワークも大きい声で練習しているようすに感心しました。 自分の授業をさらけ出すという非常に勇気のいることをやってくれた萩原さん、本当にご苦労さまでした。たくさんの示唆を得ました。 ジャンル別一覧
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